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補瀉(ほしゃ)の概要

経絡を流れる気血をどうしたら調整できるか?

皆さん、こんにちは。先回は経絡(けいらく)についてお話させていただきました。今回はその経絡を流れる気血をどうしたら調整できるかということをお話しさせていただきます。

その前に脈診についてお話しするのが本来なのですが、これは我々東洋はりの術者が診察する上で必要な技術ということになりますが、このページでは、一般の人に少しでも東洋はり(経絡治療)をご理解いただいて治療院にかかられるときの手がかりにしてもらえればと思って始めたものですので、ここでは割愛させていただきます。

脈診の項目については、鍼灸ブログで後ほど掲載する予定ですので、興味のある方はそちらをご参照ください。さあ、14枚目の扉を開けてみてください。

経絡治療では、気血が順調に流れている場合を健康とし、その過不足によって経絡内に流れている気血のバランスが崩れたときを病気としています。

その「過」(実)、「不足」(虚)したときに用いられる鍼のやり方を補瀉と呼んでいます。

1.虚(きょ)に対する補法

経絡内に流れている気血が流れにくくなりその部分において不足している状態を「虚」としています。河の流れでいえば水量が少なくなってしまっている状態ということになります。

生気の不足で体全体が弱って元気がないような場合や邪に犯されて正気が少なくなった状態も虚ということになります。

その生気を補充する目的で行なわれる鍼を補法と呼んでいます。

2.実に対する瀉法

それとは逆に何らかの原因によって「邪」が経絡内を犯して溢れ出しそうになっている状態を「実」と呼んでいます。河に岩や土ゴミなどが溜まって水の流れを妨げている状態です。その原因となっている「邪」を取り除くために行なわれる鍼の治療を瀉法と呼んでいます。

虚とは機能が低下している状態で、実とは機能が亢進している状態という対照的なものではありません。どちらかといえば、虚も実も生気が不足している状態とご理解してもらえれば良いと思います。

治療事例紹介などで補的とか瀉的という言葉や散鍼(ちらしん)と言う言葉を使っていますが、これは愁訴が面をなして存在するとか、気血が渋滞する場合に行なわれる鍼のやり方で、特定のつぼや経絡に関係なく行なわれる散らし鍼のことです。

補的とは押し手で痕を撫でさすることをいい、瀉的とはそのまま次から次へと切皮鍼を行なうことを言います。

このような虚にたいして補法、実にたいして瀉法を組み合わせて行なう治療のことを補瀉と呼んでいるのです。

今回はこの辺で失礼します。