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臓症論のお話2

東洋医学における五臓六腑の仕組みと働き2

皆さんこんにちは。先回は5臓6腑の仕組みと働きについて半分までお話をしてまいりました。今回は残りの臓腑についてお話させていただきます。

さあ、16枚目の扉を開けてみてください。

7.腎臓

背の第2腰椎付近につき、父母より受けた先天の元気を受けるところとなっている。これは左右に分かれて二つあるが、一般に左を腎の臓といい、右は命門としている。

先天の元気は生気とも呼ばれ、栄衛に注入されて生命の根源となっているものである。また、肝とともに性器を支配し生殖作用に関係している。

東洋医学では、尿は小腸・膀胱によって作られると見ているが、腎はその分泌を支配している。また、耳・骨・髪の毛を司るので、その病は腎臓の病と見ることが出来る。

8.胃

背の第12胸椎付近につき、食物を入れる袋である。上は食道から続き、下は小腸に続いていて、食道から受けた食物(5味)は胃でふじゅくされて脾の力を借りて、砕き解かされ吸収される。これを胃の気といって栄衛の元になっている。

9.脾臓

背の第11胸椎付近につき、現代医学的には膵臓を中心とした消化器群と見ることが出来る。これは胃の中の食物を外からもみ砕く役目をしているが、胃とともに栄衛の精製と循環に重要な役割を果たしている。

唇・肌・乳を司るので、これらの病は脾臓の病と見ることが出来る。

10.小腸

背の第1仙椎付近につき上は胃と繋がり、16曲して大腸に続いている細長い管である。

胃でふじゅくされた食物は小腸に入り、次第に胃の気が吸収され水分と固形物に分かれながら大腸へ送られる。

11.大腸

背の第4腰椎付近につき、上は小腸につながり下は肛門となる。

小腸において水分と分離した固形物は大腸に入り下の力によって衛が造られ、先天の元気を受けて脉外をめぐり栄の働きを護衛する。残ったカスは便として肛門より排泄される。

12.膀胱

背の第2仙椎付近に着き、中曲穴部にある嚢である。

上には口がなく小腸より分かれた水分はこの部より膀胱へ染みとおり蓄えられ、時を得て尿として排泄する。すなわち、この医学では尿は小腸・膀胱の共同作用によって造られるとされている。

前回、今回と2回にわたって、東洋医学における五臓六腑の仕組みと働きについてお話をしてきました。

東洋医学は経験医学とも言われ、初めに治療があって、それから後に理論を組み立てていったため、こじつけの部分もありますし、後でご紹介する五臓の色対表というものがあり、人間の体を五行に分けて考えていますので、肝臓の支配するところが眼・筋・爪とか、肺臓の支配するところが鼻・皮膚・息遣いなど現代医学では、とうてい理屈に合わないところもあります。

しかし、肝臓が悪いと眼に黄疸が出るとか、呼吸器系の病気では鼻に関係する症状が出ますが、これは現代医学でも同様ですね。

  • おおよそ働きとしては、肺臓は呼吸器系や皮膚の病気に関係します。
  • 心臓は血液を全身に巡らせる働きと意識活動が当てはまります。
  • 脾臓は消化器系全般と食欲、睡眠、便通に大きく関係します。
  • 肝臓は眼の病気やホルモン、神経など内分泌系の病気や精神疾患などに大きく関係します。

腎臓は尿の排泄と先天の元気を宿すところとされていますので、命の根源ということになります。ここが現代医学とは最も違う考え方でしょうか?そのほか、胃・小腸・大腸・胆・膀胱などは、現代医学から見ても共通な部分が多いようです。

それでは、今回はこの辺でお話を終わりとさせていただきます。