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病因論のお話

どうして病気になるの?

ご無沙汰しておりました。今回は病気になる原因は、東洋医学ではどのように見ているかをお話しさせていただきます。さあ、18枚目の扉を開けてみてください。

全ての病症を経絡の変動として見るこの医学では、体を守っているのは、経絡の調和によって保たれていると考えます。

「内傷なければ外邪入らず」という基本的な考え方をしています。つまり、体の中が弱っていなければ、外からどんな刺激を受けても病気にならないと見ているのです。

しかし、残念ながら病因を受けやすい体質になっていると内因および外因の邪気に繰り返し犯されるときは、体を守っている経絡の防衛基点が破られてしまい、病気になってしまうと考えているのです。この考え方を病因論と呼んでいます。この病因には素質、外因、内因の三つがあります。

1.素質

我々は同じ両親から生まれたものでも強いものと弱いものとがあり、その生活環境によってここ別々の個人差が生じてきます。これを素質、体質と呼び、陽性体質、陰性体質とに分けます。

陽性のものは、筋骨充実してつやがあり、元気旺盛活動的であまり病気をしません。もし、病気にかかっても激しく現れて回復も速い人が多いです。

一方、陰性体質の人は筋骨軟弱で痩せています。太っていても、つやがなく、動きは緩慢で消極的で常に病気がちで治りにくく慢性化しやすくなっています。

貴方はどちらのタイプですか?あまり美味しいものを食べてゴロゴロしてばかりいると、体は頑丈そうに見えるのに常に体が重くなったり、なんだか元気がない、風邪をひきやすいという人は陰性体質に傾いているかもしれませんね。

2.外因

東洋医学では、風、暑さ、飲食労健、寒さ、湿りを5邪として、歩疲れ、見疲れ、座り疲れ、寝疲れ、立ち疲れを5労としています。最近の人は、私も含めてあまり動きがなくて、ましてやデスクワークをしているような人は1日パソコンに向かっていて、座り疲れ、見疲れになっている人が多いようです。

適度に手足を動かして5労にかからないようにお互いに気をつけましょう。

話を戻しますが、病気にかかりやすい素質にたいして雨風寒さや飲食労健などが過度に加わると経絡の守りが破られて病気になると考えているのです。ですから、単純に雨に当たって寒い思いをしたから、風邪を引いてしまったというものではなくて、体が弱っているところへ外邪が入って風邪を引いたのだと考えてください。

この外因、外邪はまず浅く経絡を侵してその病症が現れます。その段階で治ってこないと、だんだん深く入り5臓6腑を侵され、病気は重くなります。
外邪にも陽邪(風、暑さ乾き)と、陰邪(寒さ湿り)とがあります。

そのほか、飲食労健を不内外因といい、その条件によって外因になったり内因になったりするとしています。
暴飲暴食、極度の過労毒物などは外因となり、偏った食物を長期的に渡って食べていたり、欲求不満などは内因となります。

更に、外傷、虫刺され病原菌による感染症などは第三病因として区別しています。インフルエンザは第三病因ということになりますね。

3.内因

東洋医学では、古来世より心身一如、霊肉一致として体と心を結びつけて考えていました。怒りを過ごせば肝を破り、喜びを過ごせば心を破り、思いを過ごせば脾を破り、憂い悲しみを過ごせば肺を破り、怖れ驚き過ぎれば腎を破ると見ています。

「喜怒憂思悲怖驚」を7情としています。この7情に偏りがあると所属する経絡を侵して体は内よりその守りが破られ簡単に外邪の侵入を許すことになると考えています。

これは陰症でじわじわと内より侵し多くは無熱性で緩慢な経過を辿るものですが、そこに風寒さ湿り暑さなどの外邪が加わると発熱、疼痛、嘔吐、胸い切れ、下痢などを起こし、劇症になると神経発作を起こすこともあります。

最後に、現在は環境の不良化がますます増悪傾向にあり、悪条件によって人体は内部より侵されアレルギー症、アトピー性皮膚炎、小児喘息など特異体質が多くなっています。

しかし、東洋医学の病因論の立場で言えば、経絡の守りが堅ければ病気は発病しないということですから、これらの症状でお困りのみなさんも体の防衛基点を強くする鍼治療で体質改善をしてみてはいかがですか?

たとえば、五根の眼・舌・唇・鼻・耳を最初の五行に当てはめますと、木・火・土・金・水となり、五臓では肝・心・脾・肺・腎となります。もし肝木経に変動を起こしやすい人は、眼の病をわずらいやすく、心火経の人は舌がこわばる病、脾土経は消化器をわずらい口唇が荒れる、肺金経は鼻の病、腎水経は耳の病をわずらいやすいということになります。

それでは、今回はこれでお話を終わりといたします。

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