東洋はりの診察方法2
東洋医学の診断法、問診、切診について
先回は診察法の望診、聞診についてお話ししました。今回は問診、切診についてのお話しです。
東洋医学の問診、切診について
- 3.問診(もんしん)
- これは病院でも接骨院でもカウンセリングでも皆行なわれている患者さんの自覚症状を尋ねる大切な診察行為となります。
東洋はりの特色として、5味というものがあり、これに「酸っぱい苦い/甘い/辛い//塩辛い」の五つがあり、これを異常に好むようになっているとか、逆に今まで食べられていたのに食べれなくなるなど、嫌いになったなどのことを問診することによって、その人のからだの状態や体質を見極めることを重要視しています。
酸っぱいものは収斂作用があり、苦いものは熱を取る作用があり、甘いものは緩める作用があり、辛いものは暖める作用があり、塩辛いものは和らげる作用があります。
そのほかの問診事項として、年齢・境遇・病歴現象(食欲・便通・睡眠・月経・疼痛・体温)などを問診し、主訴と合わせてどの経絡の変動によって起こっているのかを弁別していきます。
ですから、皆さんも今、自分が切ない症状を訴えるばかりではなくて、これらのことを尋ねられたら、「あまり関係ないから言わなかった」などと言わないで、素直に答えてくださいね。
- 4.切診(せっしん)
- 切診には、脈診・腹診・切経の3種類があります。
東洋はり(経絡治療)では最も脈診を重要視しておりますので、脈診については又後ほどご紹介させていただきます。
4-1.腹診
他人に肌を見せるのを好まなかった古代中国では、腹心はあまり用いられず、江戸時代になって、我が国の漢方医によって発達してきたものと言われています。しかし、漢方医が行なっている腹診をそのまま用いても東洋はりでは、あまり診察に結びつかないため経絡腹診というものを開発して、臓器診とともに行なっています。
右の図のように腹を五つの臓に区分してどの臓に変動があるのかを診察していきます。
それによって脈診とともに証を立てる決めてになります。腹部は脈よりも面積が大きいのでその変動も捕えやすく、又はりをした後に整ったかどうかの判定を下すのにとても役立ちます。
つまり患者さんの体の状態や病気の程度/状態などを腹診をすることによって知ることが出来ます。
良いお腹ってどんな腹?
健康な人の腹とは、肋骨上は緩やかな筋肉、皮下脂肪で覆われ、その形が整い肋骨弓(水落を囲こんでいる肋骨の部分)は、ほぼ90度にひらいていて、これを正常胸と呼びます。
大腹(上腹部)小腹(下腹部)は寒い温かいに偏ることなく、丸みをおびた、ちょうど「ふかしたてのまんじゅう」のような緩やかなふくらみをもつのが良いとされています。
皆さんもまんじゅう腹を目指しましょうね。ぼってり脂肪が付いていて、たぬきの腹のようなものは、ふかしたての饅頭ではなくて、ただの太り過ぎですからお間違えのないようにあしからず。
このほかに東洋医学では、大腹(上腹部)小腹(下腹部)ともに張り満ちるものを脹満と言います。
大腹小腹ともに陥下して、古い綿にでも触れるようなものを虚腹軟弱としていて、ふくろに入れた蛇や碁石にでも触れるようなもの、小腹から大腹に及んで筆の軸にでも触れるようなものは不治の病と見ています。
特にへその下炭田には、腎肝の動悸を触れることができ、難経8の難には、「脈が絶しても腎肝の動機確かなものは生きるが、これとは反対に、脈が普通に打っていても腎肝の動悸絶するものは死んでしまう」として予後の判断に用いていました。
小腹より大腹に向かって動悸攻め上り、心下部に迫るものは陰虚過動といって、病が末期になったときなどに現れるものとしています。
尚、心先拍動が激しく服の上からでも触れるようなものは、心気虚損の悪江であるので、治療には充分気をつけなければならないとしています。
これらは蛇足ですが、鍼治療で何故お腹を一生懸命見ているかということをご理解していただくためにお話しさせていただきました。次回は切経(触診)についてお話させていただく予定です。