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東洋はりの診察方法4-脉診のお話その1

脉を診ると行ってもどこの脈を見ているのでしょうか?

今回から我々が行なっている東洋はり(経絡治療)で最も重要な脉診(みゃくしん)についてお話させていただきます。さあ、25枚目の扉を開けてみてください。

ご年配の方はお聞きになったこともあるかと思いますが、以前は「具合が悪くなって医者から脉を見てもらった」、「脉を取ってもらう」などのように使われていたほど、医療の現場では脉診を重要視していたようです。

今のように心電図とかCTなどがなかった時代では、脉を診ることで、生死はもちろんのこと血圧や心臓の状態などを脉から判断していました。

脉は心臓の心拍を見ることが最も大きな役割といえますが、そのほかに血圧や体の状態などを観察するのにも役立っています。その体の状態を見る診察法として東洋医学においては、脉診が最も適するとして古来より用いられ、長い年月をかけて発展してきました。

まず、一般の人でもご存知のように手首を触ると脉が触れますね。そこは、橈骨脉と言います。

その他では、こめかみや足の甲の親指と人差し指の間、腕を曲げる肘のくぼんでいるところ、喉の脇など我々の体のあちこちで触ることが出来ます。お風呂上りなどでよく分かるようになりますから、皆さんも自分の体で確かめてみてください。

そこで手首の所の脉を使って脉診を行ないますが、ここの場所を東洋はりでは、「すんこうぶ」といっています。更にその「すんこうぶ」を3分割して、「すんこう/かんじょう/しゃくちゅう」といっています。

古典ではよくこの「すんこうとか、しゃくぶ」というような記載があるのですが、すんこうは脈全体のことを表しているのか、3分割した一部の場所のすんこうをさして言っているのか、しゃくと言っても前腕の内側もしゃくというのでそこの部分を言っているのか分かりにくく、われわれを悩ませ解釈が治療家で分かれたりする原因にもなっています。

ここでは、紛らわしいので、脈を見るところを「脈所」として、「すんこう」とか、「しゃく」と言ったときは、三分割したところをさしているものとご理解してください。

六部定脉診(6ぶじょういみゃくしん)ってどういう意味ですか?

脉所を三分割すると左手と右手で6箇所になりますね。それをさして言われる言葉ですが、これも東洋はり独特の言葉で、本当は古来中国の古典には出て来ない言葉でした。昭和初期に日本の経絡治療を勉強して普及をされた先生方が、後の我々後輩に伝えやすいように新たに採用した脉所を現す用語です。

脉と臓腑経絡との関係

我々のバイブルとも言うべき、難経の18の難に「脉に3部あり、部に4経あり・・」と言って、右手すんこうには肺と大腸、右手かんじょうには脾と胃、右手しゃくちゅうには心包または明門と三焦、左手すんこうには心と小腸、左手かんじょうには肝と胆、左手しゃくちゅうには腎と膀胱を当てはめて12経絡(六臓六腑)としました。3部を上の「陽」と下の「陰」を当てはめたので、脉に3部あり、部に4経ありということになるのです。

脉診の二つの柱

この6部定位脉診は比較脉診と脉状診との二つの要素から成り立っています。 比較脉診とは、先ほど述べた臓腑経絡を比較して一番変動している経絡を決め治療で使われる要穴(つぼ)を決定することをいいます。

脉状診とは、その現す脉状によって、はりの仕方やはりの太さ長さを決めることを目的にして見る脉診のことをいいます。

今回は脉診のガイドラインをお話しさせていただきました。次回から実際に行なわれている脉診の様子についてもう少し詳しくお話しして行く予定です。

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