東洋はりの診察方法4-脉診のお話その4
あなたは、どの季節が過ごしやすいですか?
今回からは素因脉についてお話しさせていただきます。さあ、28枚目の扉を開けてみてください。
患者さんの現す脉状はその体質や季節あるいは病気の状態にしたがっていろいろと変化するものです。これを、脉診では、「素因脉」と言っています。それでは、次に体質脉とはどのようなものをいうのでしょうか?
体質脉は、われわれの体にも木・火・土・金・水の五つの要素があり、5臓に当てはめて、肝・心・脾・肺・腎の体質があると考えています。
- その体質に合わせて肝(木)体質は弦脉
- 心(火)体質は洪脉
- 脾(土)の体質は緩脉
- 肺(金)の体質は、毛脉
- 腎(水)の体質は、石脉と、それぞれ体質に合わせて脉を打つとされています
さらに、われわれ人間は、生まれながらにして個々別々の存在ですから、それによる固有の脉を現すことになります。これを「固有脉」と呼んでいます。つまり、体格の大きな人は、その脉は、大にして緩。小さい人は、小にして数(さく)、老人は、沈・濡にして遅、子供は、浮・短にしてやや数(さく)。
性格的に気の早い人は、緊数(さく)、おっとりしている人は、沈・濡にして遅を現すとされています。
脉状からも体質や性格まで現れるということになりますが、それがわかる脉診力があれば、私などは、鍼などしていないで、占い師にでも転職しますけどね!
これらの体質脉、固有脉、4季の旺脉「朝・中・午後・夕・」の5刻脉などの影響を受けて、その総和の脉状が「素因脉」ということになります。
その素因脉に内傷や外患の邪が加わって特定の秒脉が現れ、その秒脉を対象にして治療をすることになります。
自然界にあっては、春成、夏長、秋集、冬蔵といって、その季節によって体調に影響を受けるとされています。
しかし、現代においてはいろいろな生活環境や薬などの影響もありますので、実際にはそのような脉状をうつとは限りません。
春は肝の気が旺気し、夏は心の気が旺気し、秋は肺の気が旺気し、冬は腎の気が旺気しますので、その部の脉ところもしっかりとしていて、病気にはなりにくいのが本来の健康であるとされています。
しかし、逆に、もともと肝が旺気しやすい日とは、その生活と営みにおいて肝の気を多く労消しそれが病を得て肝の脉ところはやや虚したり秒実になってきます。
春は肝の気が旺気する時期とされていますので、本来ならばそのような体質の人は元気になるものですが、かえって具合が悪くなってくる人が多いようです。
我々がよく言う「体質改善」ということになれば、本来その人の持っている体質脉が当てはまる季節によって旺気して具合が悪くならない体になってもらって、脉状も季節とその人の体質脉とが一致するというのが理想ということになりますね。
今回はこの辺で終わりとさせていただきます。