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乳汁分泌障害の症例

乳汁分泌障害の症例をご紹介いたします。


1例:31歳の女性

8月末に出産。授乳中。肩から背中が凝り頭が上せる。足の冷え。吐き気もある、母乳の出が悪いとのことでした。

体の状態と症状としては、頚の前突、ナソ部にキョロ所見。皮膚は温かいが上と下ではかなり異なる。肩凝り背中の痛み、吐き気、足の冷え、痒み/眠れない/頭が重い/胃がつかえる、鼻血/喉口の渇き/胸苦しい/動悸、母乳が出にくいなどがありました。

肩こり症、冷性、乳汁分泌症と診断しました。治療としては、主訴の肩こり、背中の痛みを中心に行い、乳汁分泌をよくするため、陥谷・合谷の奇経灸や腋下のリンパの流れをよくするためのお灸をしました。

治療を2,3回したところで、お乳の出が良くなってきました。以後は、肩こり、背中の痛み、足の冷えなどの治療を続け、仕事に復帰するまで、8か月、28回治療を行いました。


2例:36歳女性

2月に3人目の子供を出産し、6月ごろより左乳腺炎となって、詰まるようになった。上側に白斑ありました。

体の状態と症状としては、皮膚はなめらか暖かい、左乳腺上に固さがある。白斑あり。左右ナソ部にキョロ所見がありました。左乳腺炎、乳汁分泌障害と診断しました。 治療としては、左の乳腺の周りにお灸を行い、陥谷、内関のお灸で、乳汁の分泌を促す治療を行いました。

乳汁分泌も改善され、お乳の張る感じも取れました。


3例:再診 患者 女性 31歳 主婦

来院時の状態:肩こりと乳汁分泌障害。この患者さんは数年前に当院で腰痛治療を行なったことがあります。 1ヶ月ほど前に女児を出産後、思うようにお乳が出なくて乳房が張っているとのことでした。 脈は浮いていてやや遅く弱い。腹は小さ腹が弱い。足の冷え。脊柱の側湾有り

治療方針としては、 腎/脾相剋調整という治療方針で右復溜/尺沢/左陰陵泉に補法。胃経/胆経に瀉法。腹/首周り背中鎖骨下部に刺鍼後、左右谷/合谷にきけい灸を施術。足裏に温かみを感じたら取り去る灸を施術しました。 五日後の治療時には、証を脾/肝相剋調整に変え、右太白/大陵/左曲泉に補法。後は前回と同様の治療を行ないました。

きけい灸とは、経絡治療の中の一つの治療方法で手と足からそれぞれ一つずつ、つぼを選んで組み合わせ、鍼の材質や灸の数に差をつけることによって、プラスとマイナスの働きを利用したもので、水の流れにたとえると、充満した水を溢れさせないために、排水路に流してあげる目的で行なわれる治療法です。

3回目に来院したときに少しずつ乳汁が出るようになってきたとのことでした。婚家に戻るため治療を終了といたしました。

2年後、2子を出産後再び来院され、同じく乳汁分泌障害で治療を行ないました。

証は腎/脾相剋調整で3回行ないました。このときは右公孫/左内関のきけい灸を加えました。3回目には乳汁の分泌がありましたので、治療を終了といたしました。

治療症例