五行の理論的解釈
五行の相生・相剋・勝復関係
先回は五行の概要と生成順序についてお話させていただきました。今回は、その五行の理論的解釈を書かせていただきます。さあ。12枚目の扉を開けてみてください。
五行には、相生(そうじょう)、相剋(そうこく)、勝復(しょうふく)という三つの関係があります。
1.相生関係
これは母子関係ともいい、互いに産み生まれた中の良い間柄となります。簡単に説明いたしますと、
- 木を燃やすことによって火が生まれます(木生火)
- その燃えた火から出来た灰を土に撒くことで、栄養のある畑を作ります(火生土)
- その土の中から、金属(鉄・銅・翡翠)などが掘り出されます(土生金)
- その金が冷えていくと水玉が出来、それを見て古来の人々は水が生まれると考えたようです(金生水)
- その水が土に沁み込んで木に水分を与え木が育ちます(水生木)
これが順繰り途切れることなく産み生まれる関係を繰り返しています。
皆さんのところではこの親子関係がうまくいっていますか?親は子を慈しみ、子はお父さんお母さんに感謝しましょうね。
2.相剋関係
これは夫婦関係ともいい、互いに抑制し調整しあう間柄です。
木・火・土・金・水の五行を一つおきに結びつけた考え方で、それをイメージしてください。
まず、木剋土とは、木は土より養分を得て育ちますね。ですから、土にとっては栄養分を取られる相手ということになります。次に土剋水とは、河の流れを土手によってせき止めそれ以上の氾濫を防いでいます。ですから水にとっては、土は流れを抑制される相手ということになります。
次に水剋火とは、火が盛んに燃えそれを消すためには、水をかけて火の勢いを止めさせます。火は水によって自分を消される相手ということになります。
次に火剋金とは、金は五行中最も堅牢とされていますが、その金を火であぶることによって、いろいろな形に換え加工します。金にとっては火にあぶられて形を換えさせられる相手ということになります。 更に、金剋木とは、金で作られた刃物によって巨木が削られいろいろな道具となりますね。木にとっては、刃物は自分の体を切り刻まれる相手ということになります。
以上が相剋関係の理論ということになりますが、これは剋する関係の例で、一方的に攻めているもので、これを相剋摩擦と呼んでいます。
これだけですと、互いに抑制しあい調整し合う良い夫婦関係とはいえませんね。相剋関係には摩擦関係だけではなく、調和関係もあり、お互いに助け合っています。
その1例として、木は土より養分を得て繁茂しますが(相剋摩擦)、秋にその落ち葉を土に返してその肥沃に役立っています(相剋調和)ということになり、お互いに持ちつ持たれつという関係となります。
皆さんのところではどうですか?ご主人は奥さんを、奥さんはご主人を責め過ぎてはいませんか? お互いに思いやる関係で調和の理を保ってくださいね。
3.勝復関係
これは相生関係と相剋関係を結びつけて考えられたもので、常に五行平になるという自然良能作用を表したものです。
五行の二つ後の関係を結びつけてイメージしてください。
つまり、木剋土は、木は土中より栄養分を吸い取りますので、土は木によって一時的に責められます。しかし、その土の子である金属から刃物が作られ、作られた刃物は巨木を削っていろいろな道具を作り出します。
(木剋土その子の金が、金剋木となり、再び勝つ)ということで、調和を保っていると考えているのです。簡単にいえば、親の敵をその子が成長して仇討ちをするということでしょうか?古来の考え方にこのような思いがあったかどうかは分かりませんが。
冗談はさておいて、東洋医学では陰陽五行説が、常に診察においても治療においてもきわめて具体的に応用され一見観念論のように見られがちですが、この陰陽五行説を活用して鍼灸や漢方薬は治療を行なっていきます。